クロス討論「ラクー=ラバルト/ナンシー『文学的絶対』
――フランス現代思想とドイツ初期ロマン主義の邂逅」 (7月7日(土)14:50-16:20)
Das Literarisch-Absolute von Philippe Lacoue-Labarthe/Jean-Luc Nancy.
Zusammentreffen der gegenwärtigen französischen Philosophie mit der deutschen Frühromantik
司会 胡屋武志(宮崎大学・文学)
フィリップ・ラクー=ラバルト/ジャン=リュック・ナンシー『文学的絶対』L'absolu littéraire(1978)は,フランスでドイツ初期ロマン主義の研究に先鞭を着けた画期的な書物であるというだけでなく,いまだなおフランス現代思想を牽引し続けている彼ら自身の思想そのものを考察する上でも甚大な意味を持つ著作である。本クロス討論では,同書の研究・翻訳に取り組んでいる現代フランス哲学研究者の柿並良佑氏をお迎えし,フランスでの初期ロマン派受容の現状とともに,ナンシーとラクー=ラバルトの初期ロマン派理解の内容についてお話しいただき,彼らの共同体的な思考の発生とその後の思想的展開について確認したい。それを受けて,日本シェリング協会会員であり,ドイツ近代思想を専門とする武田利勝氏には,初期ロマン派的な思想の観点から『文学的絶対』の内容にあらためて批判を加えていただき,フリードリヒ・シュレーゲルの思想が持つ可能性が再検討される。両報告での二人の対話を通じてわれわれは,フランス現代思想とドイツ初期ロマン主義という時空を超えた二者の邂逅を目の当たりにし,さらなる議論の継続へと促されることになるであろう。